オウンドメディアを立ち上げるとなったとき、最初におこなうべきは何でしょうか?
WEB制作会社であれば、すぐに動き始めますし、社内に前例があれば対応はできます。しかし、多くの企業ではオウンドメディアを立ち上げることは一大プロジェクトになるはずです。
将来的なリード(見込み顧客)を獲得するためには広告やテレアポだけでは難しい時代、2014年ころからオウンドメディアは次々と立ち上がるようになりました。制作や運営の手間や費用を考えてもメリットの方が大きいからです。
しかし、2019年ころにはオウンドメディアは撤退も目立つようになりました。一方で現在でも新規参入が増え続けていることも事実です。せっかくオウンドメディアを作るのであれば成功はさせたい。これは当然です。
そこでローカルアドがオウンドメディアの作り方についてご説明いたします。
オウンドメディアを作る前の準備
オウンドメディアを作る前に必ず行うべき準備があります。デザインやコーディングは制作会社に依頼するのが一般的ですが、制作会社に依頼する前には必ず目的や納期を伝えなければなりません。
どこまでを自社で行い、どこからを外注するのかの線引きをはっきりとさせることも立ち上げたあとの運用に大きく影響します。
特にSEOで集客することが一般的なオウンドメディアではキーワード選定や事前準備が成否を分けると言っても過言ではありません。それくら事前準備は入念に行うようにしてください。
目的を決める
最初に決めるべきはメディアの目的です。企業活動の最終目的は売上(利益)になることが多いですが、メディアを立ち上げれば、すぐに売上が上がるわけではありません。
どういう経路で売上を上げるかはさまざまですが、メディアの読者がいきなり問い合わせにつながり利益が出ることは稀です。そのため、多くの場合は次の5つのいずれかが目的になります。
- ・認知度の向上
- ・リード(見込み客)の獲得
- ・リードナーチャリング(見込み客の育成)
- ・エンゲージメント(顧客との接触)の増加
- ・ロイヤルティ向上
言い換えれば知名度向上となりますが、メディアへの接触機会が増えれば自然とメディアへの信頼度が高まり、リードの獲得につながります。
また、既存顧客がいる場合にはメディアを通じてロイヤルティ(継続購買)を高めることが可能です。
企業によっては採用活動用にメディアを立ち上げることもあり、目的を明確にすることは極めて重要なことです。
自社制作と外注
冒頭ではサイト制作は制作会社に依頼すると書きましたが、どこからどこまでを外部に依頼するかは考えるべき事項です。
オウンドメディアの運営前の検討事項はざっと挙げても次のようになります。
- ・現状分析と競合分析
- ・キーワード選定
- ・テーマ設定
- ・制作納期(メディア公開日)
- ・制作会社の決定
- ・コンテンツ制作
- ・コンテンツ投稿
オウンドメディアを立ち上げる前であっても自社の公式サイトはあるはずですので、そこで取れているキーワードや流入を分析し、競合他社ではどのようなキーワードで集客しているのかを確認する必要があります。
そのうえで、どのようなテーマで、どういうキーワードで集客するのかを決め、いつ公開するのかを検討する必要があります。
特にYMYL(Your Money or Your Life)とよばれるユーザーの人生や財産に大きく影響する分野をテーマにする場合には難易度が極めて高いため、集客に成功するまでに数年単位の期間を要することもあります。
メディアを立ち上げても戦えるのか、勝てるのかを考えることは立ち上げ前の最優先事項といえます。そして、立ち上げが決まったあとはコンテンツをどうやって作っていくのかという体制を決める必要があります。
これらの工程のすべてを外注することも可能ですが、コストが膨れ上がることを考えるとある程度は自社で巻き取る必要があります。この線引きをどこにするかでコスト感が大きく変わります。
ペルソナ設定
サイトには必ずユーザーが存在します。そのユーザーのためにコンテンツを作りますが、すべてのユーザーに対して満足するコンテンツを作ることは非常に難しく、現実的ではありません。
そこで、自社の顧客になるだろう顧客理想像であるペルソナを作り、ペルソナに対してコンテンツを作ることでメディアとしての成功につなげることができます。
ペルソナ設定は意外に難しく、最初は戸惑うことも多いはずですが、一度作ってみてメディア運営をしながら改良を加えていくことをお勧めいたします。そして、ペルソナを設定したら、そのペルソナに対するカスタマージャーニーマップを作ってください。
カスタマージャーニーマップとは、ユーザーが商品を知ってから購入するまでの旅(ジャーニー)をする軌跡を表にして可視化したものです。
一般的にユーザーは認知、興味関心、比較検討、購入のステップを踏みます。それぞれのフェーズでユーザーが何を考え、どのように思い、商品とのタッチポイントは何かを考えることで自然と必要なコンテンツが見えてきますのでメディア運営に役立てることができます。
もしペルソナを作る時間がないという場合であっても、ターゲット(30代男性会社員、20代女性主婦など)だけは決めるようにしてください。
エディトリアルカレンダー
引用元:株式会社エコンテ|https://econte.co.jp/service/ec/
エディトリアルカレンダーとは、コンテンツ制作を管理するための予定表のことです。
商材によってはクリスマス、バレンタインデー、母の日のように特定の日に大きく売上が伸びるものがあります。つまり、特定の日の前に記事を公開する必要があるため、事前準備や製作期間を考えて逆算するといつ記事を書き始めて、いつ記事を公開するのかを決めておく必要があります。
企業によっては通年で売上が大きく変わらない商材を扱っている場合もありますが、その場合であっても毎月何本の記事を公開するということくらいは決めておいた方が予算管理しやすいためお勧めです。
その他の準備
その他の準備としては次のようなものがあります。
- ・サーバーの選定
- ・ドメインの決定
- ・サイトデザインの決定
- ・メディアルールの決定
サーバーは公式サイトと同じでも構いませんが、オウンドメディア用にサーバーを借りる必要が出てくることがあります。また、公式サイトの下にメディアをぶら下げる場合(サブディレクトリ)にはドメインは変わりませんが、公式サイトや既存サイトとは別にメディアを立ち上げることも多く、ドメインの新規取得や管理はどうするのかも検討事項です。
サイトのデザインも制作会社に依頼する前に5~10個程度の参考になるサイトを洗い出した方がスムーズに進みますし、メディアルール(テキストの文体、写真やイラストのテイスト、表現の統一)を決めることでライターに記事制作を依頼するときに手戻りが少なくなります。
オウンドメディア立ち上げに必要な費用
オウンドメディアの立ち上げにはさまざまな費用がかかります。細かいところまで挙げるとキリがありませんが、大枠でいえば次のとおりです。
- ・サーバー費用
- ・ドメイン費用
- ・制作費用
- ・ライティング費用
- ・ツール費用
サーバー、ドメイン費用
サーバーとドメインは公式サイトや既存サイトの直下(サブディレクトリまたはサブドメイン)を利用する場合には追加でかかることはありません。
ただし、ユーザビリティを考えると新規で立ち上げる方がよいことが多く、別途コストがかかることを考える必要があります。
どこのサーバーで、どんなドメインを取得するかで費用は変わりますが概算ではサーバーは年1万円程度、ドメインは年1500円程度です。
サーバーもドメインも使い慣れたところで構いませんが、サーバー会社としてはさくらサーバー、エックスサーバー、カゴヤジャパンあたりが信頼できて安価なのでお勧めです。
ドメイン取得はお名前ドットコムが非常に有名ですが、サーバーをレンタルすればドメインが無料になることも多いため、先にサーバーを検討するとよいです。
オウンドメディアの制作費用
オウンドメディアを制作することを自社内で行うことはほとんどありませんので、制作会社に依頼することになりますが、制作会社は非常に多くどこに依頼すればよいのかがわからないということが普通です。
特にオウンドメディア立ち上げの場合には事前調査、競合分析、戦略策定、キーワード選定も含めて制作をしてくれる制作会社もあるため、どこまで依頼するかでコスト感は非常に大きく変わります。
テンプレートで低価格かつ短期間で立ち上げても安くて30万円程度は見るのが一般的ですし、本格的なデザインでオリジナルメディアを立ち上げる場合には100万円以上かかることもよくあります。これに戦略まで依頼すると数百万円かかることもあります。
メディア製作の費用と期間概算
メディア運営の必要費用
オウンドメディアは立ち上げて終わりではありません。むしろ立ち上げてから成功させるまでの方が長く、大変です。
効果測定やコンテンツ制作にはコストがかかりますので予算を確保する意味でも概算だけは出しておいてください。
分析ツール費用とコンテンツ制作費用が主なコストになりますが、場合によってはSEOコンサル費用を計上する必要もあります。費用感もどこまで依頼するかで非常に大きく変わりますので、事前に数社の比較検討するのが一般的です。
特にコンテンツは相当量が必要ですので安く抑えたいところですが、コンテンツ制作会社に依頼すると安くても1記事3万円程度です。
クラウドワークスやランサーズなどのクラウドサービスに依頼することで費用を大幅に抑えることができますが品質は大きく落ちるのが一般的です。
たとえば、1記事3000文字程度だとして、クラウドサービスであれば文字単価0.5円~1円で依頼できますので、1記事あたりの料金を1,500円~3,000円で依頼できることになります。ただし、オリジナル要素が薄く、専門的な知識は持っていないことが普通ですので要注意です。
もっともよいコンテンツ制作方法は社内にライティングチームを作ることですが、日常的な業務との兼務になりますので、なかなか実現しません。しかし、社内でコンテンツを作る場合には専門知識を有し、顧客と触れ合うことでニーズを把握していることから高品質な記事を作ることができるのが普通です。
オウンドメディアのSEO対策
オウンドメディアはSEO集客とSNS集客の両方をおこなうことが一般的ですが、SEOは必ず意識する必要があります。
ライティングも奥が深く、コピーライティング、SEOライティング、WEBライティングの3つに分かれます(業界や企業により定義が異なります)。
コピーライティングは売るための文章を作るライティングのこと、SEOライティングは検索順位を上げてアクセスを増やすためのライティングのこと、WEBライティングはコピーライティングとSEOライティング以外のライティングのことです。
オウンドメディアでは、すべての要素が欲しいですが最低でも必要なのは、検索順位を上げるためのSEOライティングです。
※SEOライティングのことをWEBライティングと呼ぶこともありますし、コピーライティングのことをさらに細分化してセールスコピーライティングと呼ぶこともあります。
SEOライティングとは
SEOライティングとはSEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)を意識したライティングのことです。
見出しや文章にキーワードや関連語を含め、ユーザーのためにわかりやすく情報をまとめたコンテンツを書くことで検索順位が上がり、アクセスを集めることができます。
しかし、SEOライティングができるライターは意外に少なく、世の中のライターのほとんどはコタツライターとよばれるライターです。コタツライターとは、コタツにいながらネットで情報を調べてまとめる記事を書くライターのことです。
コタツライターは単価が安く、短納期で対応してくれる代わりに専門知識がなく、オリジナル記事が書けることはほとんどありません。記事のオリジナル性と専門性はSEO観点では極めて重要度が高いため、できるだけ専門家に書いてもらうことが重要です。
E-A-Tの重要性
E-A-Tとは、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の3つ用語の頭文字をつなげた造語です。イーエーティーと読んだり、イートと読んだりします。
SEOではコンテンツやサイトの専門性、権威性、信頼性が非常に重要ですので、コンテンツは専門性が高い記事にする必要がありますし、サイトは権威性があり信頼できるものでなければなりません。
多くのメディアで記事の最後に著者情報や専門家監修を付けているのは、このE-A-Tを意識してのことです。しかし、著者情報だけで検索順位が上がることはほとんどありません。
サイト全体の最適化をするためにはE-A-Tの観点を中心にSEO対策する必要があります。
オウンドメディア立ち上げで失敗しないために
オウンドメディアは新規参入も撤退も頻繁におこなわれるサイト形態です。とりあえず始めるというのもよいですが、最終的には経営判断で撤退がおこなわれる以上は最低限の決め事は守った方が無難です。
以下はオウンドメディアで特に失敗しやすいパターンです。
- ・責任が不明確
- ・目的が不明確
- ・成果の定義が誤っている
- ・予算不足
- ・社内リソース不足
- ・社内理解がない
責任、目的、成果
メディア制作と運営は必ず自社と外注の両方がかかわります。そのため、責任が不明確になることがあり、目的が定まっていなかったり、成果の定義が誤っていたりすると高確率で失敗します。
特に成果の定義は重要で、とりあえずやってみる、一定期間やってみるという決め方だとあやふやなため、企業の上層部も判断ができません。半年間は目に見える効果が出なくても継続する、その後、3か月以内にアクセスがどのくらい、問い合わせがどのくらいなければ撤退するというように具体的な数値を入れた方が判断しやすいです。
ただし、SEOは予想しづらいことが多く、下方修正と上方修正を繰り返すことは最初に念頭に置いておくべきです。
予算、人員、社内理解
予算不足、人員不足、社内理解不足はSEOメディア失敗あるあるです。メディア運営には思いのほか費用がかかりますし、社内で対応するには人員が足りないということは非常に大きな課題です。
さらにSEOに対する社内理解がないことも非常に多く、継続できるかどうかは社内理解、もっといえば上長理解が非常に重要です。
オウンドメディアを作ることになったら
インハウスでオウンドメディアを立ち上げることになった場合、初動は極めて重要です。インハウスでオウンドメディアを運営する場合でも一部は必ず外注することになります。
では、どこまでを社内で対応して、どこからを外注すべきか。これは非常に大きな問題です。
社内に戦略策定やキーワード選定までできるようであれば、サイト制作のみを外注するということでよいですが、一般的に戦略策定とキーワード選定までできるWEB担当者は社内にはいません。
そこで事前準備の一部を外注することになりますが、費用感が読めないというのもよくわかります。そんなときはローカルアドが力になりますので、お気軽にご相談ください。