「SEO初心者です」という発言はTwitterや個人ブログなどでよく見かけます。
正直なところ、SEO対策は見るべき箇所が多く、知っておくべき知識が非常に多いので自ら初心者と名乗る人が自力で対策することはむずかしいのが現状です。
しかし、自分でやりたいという人ができないかといえばそうではありません。本来、SEO対策はほとんどの作業は自分でおこなうことができるものです。
ここでは初心者であっても最低限対策すべきポイントをまとめております。
SEO対策とは(初心者向け)
SEOとはSearch Engine Optimizationの略で、検索エンジン最適化を意味します。そのため、SEO対策と書くと意味が重複してしまいますが、既にSEO対策という言葉で認知が進んでいます。
検索エンジンにはGoogle、Yahoo、Bingをはじめ、最近出てきたduckduckgoや海外ではよく使われるBaidu、yandex、naverなどさまざまですが、日本ではGoogleとYahooだけで約90%のシェアがあります(参考:世界40カ国、主要検索エンジンシェア【PC、モバイル】)。そして、Yahooは裏側ではGoogleの検索エンジンを利用していますので、日本でSEO対策といえばGoogleの検索エンジン対策ということを意味します。
初心者向けスタートガイドを読む
Googleはウェブマスター向けガイドラインを用意しています。これを読むことでどのような考えでホームページ運営に臨むべきかが理解できます。しかし、初心者には専門用語やむずかしい表現が多いこともありますので、まずは初心者向けスタートガイドを一読することを強く推奨いたします。
もし、初心者向けスタートガイドとウェブマスター向けガイドラインを読み終えて、さらに深くSEOを知りたいという場合には検索品質評価ガイドライン(General Guidelines)を読む必要がありますが、すべてが英文ですので上級者向けです。
H3:検索エンジンの仕組みを知る
検索エンジンの仕組みを知ることはSEO対策とは直接関係はありませんが、知っておくべき知識といえます。
Google botとよばれるロボットがホームページを自動的に読み込みます(クロール)。そして、そのページが検索エンジンに載せるべき品質があるかどうかを判断してデータベースに登録します(インデックス)。さらに、データベースにあるページをキーワードごとにランク付けを行い(ランキング)、検索された際の表示順位を決定します。
SEO対策で成果が出ないときには、原因を特定する必要があり、クロール、インデックス、ランキングのどの部分に障壁があるのかがわからなければ対策が非効率になりますので概念だけは覚えておいてください。
ユーザーファーストを目指す
Googleは一貫してユーザーファーストを目指しています。これはGoogleのビジネスモデルにも起因しています。
Googleは検索エンジンを利用してもらう際に広告を表示しています。この広告がGoogleの収益になっていますので、検索エンジンの利用回数が増えることが利益につながります。
検索エンジンの利用回数を増やすためには、ユーザーが満足する検索結果を出す必要があり、これが理由で高品質なサイトを上位に表示する傾向があります。
2017年頃から高品質なコンテンツが強く求められている理由がここにあります。ユーザーが求めているコンテンツを作れない場合には上位表示することはむずかしいといえます。
スマートフォンを意識したサイトを作る
引用元:「Web担当者Forum ミーティング 2020 秋」アユダンテ株式会社
SEO対策するときに気をつけることはスマートフォン用のサイトをきちんと作ることです。制作する際にはパソコン版で作ることが非常に多いですが、モバイルファーストインデックス(MFI)といって、Googleはパソコン版ではなくスマートフォン版のサイトを評価対象とします。
パソコン版で素晴らしいサイトを作ったとしても、スマートフォンで見たときに使いづらいサイトやわかりづらいサイトになっていると正しく評価されないことがありますので注意が必要です。
検索キーワードの選び方
SEO対策をするときに極めて重要度が高いことに検索キーワード選びがあります。
対策するキーワードを決めて、キーワードに対する最適化をする必要がありますが、意外に大手サイトであってもキーワードの最適化はできていません。
まずはキーワードを決め、そのあとでキーワードに対するSEO対策を行ってください。キーワード選定にはユーザーニーズを知り、検索ボリュームを調査したうえで対策を始めることをお勧めいたします。
ユーザーニーズを知る
まずはサイトとして狙うべきビッグワードやテーマを定めます。実際に上位化できるかどうかは別にしてもテーマが定まっていないサイトの上位化はむずかしいことが多いため、必ず行ってください。
例えば、SEO、WEBマーケティングのようなザックリとしたもので構いません。
テーマが定まったら、サジェストワードを調べます。サジェストワードとはGoogleの検索ボックスにキーワードを入れると出てくるサジェスト(提案)のことです。
上図のように「SEO」のあとにスペースを入れると関連するワードが出てきます。これを拾っていきます。
さらに、検索結果の最下部に行くと「他のキーワード」という箇所に関連するワードが出てきます。
これらのキーワードを確認することでユーザーにどのようなニーズを持っているかというGoogleのデータを見ることができます。
この作業は手間がかかるため、ラッコキーワードのような無料ツールを使うことでスムーズに一覧を得ることも可能です。
検索ボリュームを調査する
関連ワードを一覧にしたあとは、それぞれの検索ボリュームがどの程度あるのかをツールを使って調査します。
一般的にはGoogle広告の中にあるキーワードプランナーを利用することで月間検索ボリュームを調べることになりますが、無料版のキーワードプランナーでは月間検索ボリュームの概数しかわかりません。
本来の検索ボリュームが月間150回だとしても、無料版では月間100回~1000回のような表記になるため十分なデータを得ることはできません。ただし、有料版を使って検索ボリュームを正しく調べたからといってSEO効果が出るというわけではありませんので、正しい検索ボリュームを知りたいだけが理由であれば有料版はお勧めできません。
検索ボリュームは多いのか少ないのか、つまり、ユーザーニーズがあるのかないのかを調べるためのものです。
内部対策
SEO対策には内部対策、外部対策、コンテンツSEOの3つがあります。
内部対策とは自分のサイトを改良して最適化を図ること、外部対策は外部リンクを取得することでドメインの力を強くすること、コンテンツSEOはキーワード対策を施したページを量産することで、テーマに沿ったサイトを作ることを意味しています。
広い意味ではコンテンツSEOも内部対策になり、初心者で最初に行うべきことはコンテンツSEOよりの対策であることがほとんどです。(内部対策でも非常に重要なことが多数ありますが、初心者が行うには難易度が高すぎることが多いため割愛させていただきます。)
ここではタイトル、検索意図、内部リンクの3点に絞ってご説明いたします。この3つを十分に対策できれば、それだけでSEO効果が出ることは間違いない項目です。最初はほかのことにとらわれず、この3点のみに集中してください。
タイトル
SEOにおいてのタイトルとは、ソースコード上でtitleタグで囲われた部分を指します。
上図のように、検索結果に青文字でやや大きく表示されるところ(赤枠)に出てくるのがタイトルの内容です。クリック後はブラウザのタブに出てくることのが一般的です(下図赤枠)。
タイトルはSEO効果が非常に大きく、タイトルに狙うキーワードを入れるかどうかだけで順位が大きく変わりますので必ず設定してください。
ただし、キーワードさえ入れればよいのではなく、記事内容を反映したものがタイトルですので、タイトルさえ読めば記事の内容がなんとなくわかるような内容にする必要があります。
タイトルを付ける際の注意点は以下の3つです。
- ・キーワードは前の方に入れる
- ・32文字以内にする(短くても問題なし)
- ・記事の内容がわかるタイトルにする
なお、多くの場合でtitleタグとh1タグの内容は一致しますが、一致する必要はありませんし、別々に設定してもSEO効果は変わりません。
検索意図
検索意図とは、ユーザーがそのキーワードで検索した理由のことです。
例えば、「SEOとは」で検索した人と「SEO 費用」で検索した人の意図はまったく異なるはずです。「SEOとは」で検索した人はSEOのことがよくわかっていない人だと推測できます。一方、「SEO 費用」で検索した人はSEOが何かはわかっているが、どの程度の費用がかかっているのかを知りたい人であることが想定できます。
同じ「SEO」がテーマですが、まったく異なる検索意図があるということは、それぞれの検索意図を満たす記事を作る必要があるということです。
この検索意図がわかっていないとGoogleに評価されることはむずかしく、まずはキーワードから自分で推測をして、そのあとで実際に検索してみて上位記事を見ることで検索意図を特定することで記事制作の助けになります。
内部リンク
検索意図を把握し、コンテンツを作り、タイトルを付けたら次に行うことは内部リンクを張ることです。
SEO対策では2010年ころまで外部リンクの重要度だけが注目されていましたので内部リンクが軽視されがちですが、内部リンクを最適化することは現在でも、そして将来的にも非常に重要な内部対策です。
トップページから2クリック~3クリックですべてのページに到達できるようにサイトの導線を作り、新しい記事を投稿したら必ず既存記事から内部リンクを付けるようにしてください。
また、内部リンクを付けるときにはアンカーテキストを用いるのが一般的ですが、アンカーテキストにはリンク先のページを表すキーワードを使ってください。
SEO効果のないアンカーテキストの例としては、「詳細はこちら」や「more」などが代表的です。これらはわかりやすくはありますがSEO効果はありません。
タイトルにはSEOキーワードを使うことが普通ですので、タイトルをそのままアンカーテキストにすることも解決策の1つです。
内部リンクを張る際にアンカーテキストではなく画像を用いることもありますが、SEO効果を考えるとお勧めできません。それでもデザインや仕様の関係で画像を用いる場合には必ずalt属性を使って何を意味している画像なのかを書くようにしてください。
SEOツール
SEOに関連するツールは無数にあります。特にSEO会社やWEBマーケティング会社が毎月数万円のツールを導入することで改善したという事例をあげて営業することがありますが、SEOツールを導入する必要があるのは、ある程度わかっている人やSEOのことを理解している人です。
SEO初心者がツールを導入しても、ほとんどの場合には無駄なコストをかけるだけになりますので普通は不要です。
ですが、Google AnalyticsとGoogle Search Consoleの2つは無料であることと極めて重要度が高いツールですので導入してください。順位計測を楽にするという点ではGRCというソフトもお勧めです。
Googleアナリティクス
Googleアナリティクス(Google Analytics、略してGA)はGoogleが提供している無料ツールで、非常に多くのことが計測できるため、サイト運営をする際には必ずといってよいほど導入されます。
ユーザー数やアクセス数はもちろん、ユーザーの動きやデバイスの解像度などの細かいことも確認できます。
項目が多すぎるため認定試験もあるほどですが、最初はページビュー数(PV数)やユニークユーザー数(UU数)などに注目して観測するところから始めてください。
なお、2020年10月からGA4がローンチしましたが、それまでのGAとは大きく異なる見た目のため、別ソフトとして認識してください。旧GAもGA4も無料ツールであり、導入時には両方を同時に入れることができるため、旧GAとGA4の両方を入れて数値計測を行ってください。
Googleサーチコンソール
Googleサーチコンソール(Google Search Console、略してGSC)はユーザーがサイトに訪れるまでの動きを確認できる無料ツールです。
主にクリック数、表示回数、クリック率、平均順位を見るツールですが、サイト内部の情報も確認できるため必ず導入してください。
GSCでサイトに入るまでの動きを確認し、GAでサイトに入ったあとの動きを確認するのが一般的な計測方法です。
なお、略称はGSCですが、業界人にはサチコと呼称されることでも有名です。
GRC
GRCは有限会社シェルウェアという会社が販売している順位計測ツールです。使い方が簡単で非常にわかりやすく順位計測ができるため根強い人気があります。
費用も年間で5,000円程度ですので非常に安く、多数のキーワードを管理する際にはもっとも費用対効果に優れたツールと断言できます。
脱初心者のために知っておくべきSEOトレンド
SEOは初心者でもできることが多数ありますし、SEOをほとんど知らなくても重要な点さえ押さえておけば十分に効果は見込めます。
しかし、いつまでも初心者でいることはWEBマーケティングの業界では非常につらく、最新のトレンドを知っておくことは会社の発展や外部業者と話す際にも役立ちます。
特に知っておくべき重要ワードは次の3つです。
- ・コアウェブバイタル
- ・E-A-T
- ・YMYL
コアウェブバイタル
画像引用元:Web Vitals の概要:サイトの健全性を示す重要指標
コアウェブバイタルとはGoogleが定めた指標で、優れたユーザー体験を提供するためにどのようなことをすべきか示したものです。
ユーザー体験(ユーザーエクスペリエンス)はGoogleが重要視している点であり、今後も重要度はますます上がっていくはずです。
少々わかりにくい指標ではありますが、概念としては表示が速い、動作が軽い、わかりやすいなどのようにユーザーの使いやすさを追い求めたものさえ作れていれば問題ありません。
E-A-T
E-A-T(イート、またはイーエーティー)とはExpertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の3つの文字の頭文字をつなげたもので、こちらもGoogleが重要視している概念です。
よく誤解されるのですが、E-A-Tは概念であり、改善すること検索順位が上がるというものではありません。
Googleでは頻繁に検索エンジンの改善をおこないますが、その際に検索結果が正しく表示されているのかを人の目で目視確認しています。そのときに重要になるのが誰が情報を発信しているか、情報は信頼できるのかなどの発信者情報です。
病気のことを知りたいのであれば、知り合いではなく医者に聞くのが一番です。法律のことは弁護士、投資のことは証券マンに聞くべきです。つまり、情報によっては「誰」が非常に重要視されます。
この「誰」に注目しているのがE-A-Tの概念です。改善するには長い時間を要しますし、対策したことでSEO効果が出るものではありませんが、業界によっては長期目線で見たときには必ず対策すべきポイントです。
YMYL
YMYLとはYour Money or Your Lifeの略で、人生における非常に重要な情報を含む分野のことです。
例えば、健康、病気、お金、投資、不動産、就学、就職、養育などがYMYLのジャンルですが、影響範囲はやや抽象的で非常に広い分野にわたることがあります。
YMYLの分野では、人生のおける重要度が高いことが多く、Googleも検索結果で上位に出す記事には特に「誰」を重視する分野です。
端的にいえばSEOでの難易度が極めて高いことが多く、避けるべきジャンルといえます。もし何をしても順位がまったく改善されないということであればYMYLの分野に手を出しているということがあり、上位化には数年の時間を要することもあります。
初心者でもSEO対策をするためには
初心者の方に向けて、重要度の高い点だけに絞ってSEO対策を説明しましたが、それでもかなりむずかしいというのが普通です。
そのため、現実的には自分ですべてを行う前に一度SEO会社の話を聞いてみることをお勧めします。SEO会社に相談することで現状のサイトの問題点やキーワードの方向性などをアドバイスしてもらえたり、壁打ちすることができることがあるため、利用しない手はありません。
株式会社AdAIではSEOをインハウス化するお手伝いをおこなっていますので、もしSEO対策をしたいけれども何をしたらよいのかわからないということがあればお気軽にお問い合わせください。