エバーグリーン(evergreen)とは、常に緑であるという意味であり、言い換えれば枯れない、古くならないという意味を持ちます。

コンテンツマーケティングにおいて、エバーグリーンコンテンツとは、長期間にわたって集客ができるコンテンツのことを意味します。メディアを強くするためには定期的にバズを発生させるコンテンツや量産記事も必要ですが、独自性にあふれ、長期間にわたって貢献してくれるエバーグリーンコンテンツの作成は非常に効果的なメディア運営手法です。

本記事では、エバーグリーンコンテンツのメリット、作成のアイデアなどを紹介いたします。

 

エバーグリーンコンテンツとは

エバーグリーンコンテンツ(evergreen contents)とは、常緑樹(年間を通して緑の葉を見ることができる植物)のように常に評価され続けるコンテンツのことです。

常にユーザーに評価される記事、長期間にわたり価値提供を続ける記事、時間経過しても価値が下がらない記事とも言い換えることもでき、トレンドを追うコンテンツとは対照的な存在です。

 

向いているコンテンツ

エバーグリーンコンテンツに向いているテーマは、次のようなトレンドに関係のないものです。

 

  • ・課題解決
  • ・ハウツー
  • ・Q&A
  • ・クライアントボイス
  • ・用語集
  • ・まとめ記事

 

ユーザーが検索をするのは悩みや課題を解決するためであることが多く、特定の分野での解決法、手法、やり方、手順などを紹介するコンテンツやトレンドに影響しない用語集、まとめ記事などが特に相性の良いテーマです。

Wikipediaの記事は常に更新されているコンテンツではあるものの、一定水準以上にできあがると更新頻度はなくなり、ユーザーニーズを満たすまとめ記事となる傾向が強いため、代表的な事例といえます。

 

向いていないコンテンツ

エバーグリーンコンテンツは、その特徴から一時的な爆発力はありません。次のようなトレンドをテーマにしている記事、時間経過とともに内容が変わるようなテーマは向いておりません。

 

  • ・ニュース
  • ・時間経過により内容の変わる統計データやレポート
  • ・カルチャーやファッション、政治、芸能関係などのトレンド

 

長期的に集客できることがエバーグリーンコンテンツの大きな特徴ですので、人気が出るコンテンツであっても、一時的な集客にしか寄与しないものはエバーグリーンコンテンツには向いておりません。

 

エバーグリーンコンテンツのメリット

エバーグリーンコンテンツには次の4つのメリットがあります。

 

  • ・長期的な集客ができる
  • ・修正や更新が不要
  • ・リンクされやすい
  • ・満足度向上につながる

 

一度作ればメンテナンスが少なく、長期的な集客と被リンクにつながり、しかもユーザーの満足度につながるため、コンテンツマーケティングをおこなううえでは非常に重要度の高いものになります。

 

長期的な集客ができる

エバーグリーンコンテンツはトレンドに左右されませんので、常にユーザーに求められるという状態が続きます。必然的に長期間、あるいは永続的に集客することが可能です。一度検索上位を取ることができれば、安定したトラフィックを稼ぐことが可能です。

 

修正や更新が不要

エバーグリーンコンテンツであっても内部リンクの追加、変更や導線の見直しなどの変更は必要です。しかし、原則的にはコンテンツそのものにテコ入れをする必要はなく、管理工数がかからない点は大きなメリットです。

情報として経年劣化しないのが大きな特徴ですので、修正や更新が不要な分、サイトの他の箇所の修正の工数が確保できます。

 

リンクされやすい

エバーグリーンコンテンツはノウハウやハウツーなどが多く、経年劣化しない、ユーザーニーズの高いコンテンツですので、必然的にリンクを受けやすく、サイト全体の強化につながります。

 

満足度向上につながる

エバーグリーンコンテンツはユーザーの課題解決のためのハウツーやQ&Aなどが多いため、ユーザーの満足度も得られやすいのが特徴です。必然的に専門的な知識や課題解決の具体的な方法の発信が必要ですので満足度や信頼性向上に効果的です。

 

エバーグリーンコンテンツの作り方

エバーグリーンコンテンツ制作の企画時に考えるべきなのが記事の提供価値です。ユーザーに価値のあるコンテンツでなければ長期的に集客し続けるコンテンツにはなりえません。必然的に高品質な記事を作ることが求められ、そのためには次の観点で企画検討する必要があります。

 

長期間上位に表示される提供価値

エバーグリーンコンテンツは長期間、検索上位に表示される提供価値が必要です。この「長期間」と「検索上位」の両方が必要であり、そのためにはユーザーニーズを正しく理解し、コンテンツを提供することが必要です。

ユーザーの求める情報を満たし、信頼できるサイトほど検索上位の確率が高くなり、長期間検索上位に表示され続けるためには時間経過による劣化がしにくく、SNSでの拡散も必要になってきます。

 

重要なのはテーマ

SEOではキーワード選定が極めて重要です。エバーグリーンコンテンツも検索上位に表示されるためにはSEOを意識し、キーワードを慎重に選ぶ必要がありますが、それ以上にテーマが重要です。

ノウハウ、ハウツー、Q&A、用語集などは時間が経過しても載せるべき情報がしにくく、エバーグリーンコンテンツに向いているテーマといえます。一方、同じようなキーワードであってもニュース、トレンドのように時間経過により情報が劣化するもの、市場や経済、政治などにより変化する情報などはエバーグリーンコンテンツには向いていません。

 

課題解決は必須

長期間、検索上位に表示され続けるために重視すべきはユーザーの持つ課題の解決です。エバーグリーンコンテンツには専門的な内容の詳細をわかりやすく読者に伝え、課題や悩みを解決する必要があります。

そのためにはユーザーニーズを徹底的に調べ、記事に反映させる必要があります。そのためには検索、Yahoo!知恵袋、匿名掲示板、SNS、スポットコンサルなどさまざまなサービスやツールを利用してニーズの特定をする必要があります。

よくSEO記事を作る際に検索上位の要素を集めた記事が作られますが、これは要素を集めただけであり、独自性のある課題解決とまではいえません。エバーグリーンコンテンツであるためには、何かしらのオリジナルな課題解決が求められます。

 

ビッグキーワード以外も意識

一般的にエバーグリーンコンテンツで狙うべきはビッグキーワードまたはミドルキーワードのなかでも検索ボリュームの大きいものです。長期間にわたって集客し続けるためには一定以上の検索数が必要になるためです。

しかし、ミドルキーワードやスモールキーワードを意識しなくてもよいというわけではありません。ミドルキーワードやスモールキーワードは複数語になることが一般的であり、ユーザーニーズを特定しやすいのが特徴です。

そのため、ユーザーニーズを網羅するためにはビッグキーワードを意識した記事の幹と枝葉の部分まで意識したミドル・スモールの部分まで考えて構成を組むべきです。

特にサジェストや関連するキーワード、共起語なども要素として持つことで優れた記事になるはずです。

 

既存コンテンツをエバーグリーンコンテンツにする方法

既存コンテンツの集客がイマイチだった場合にはエバーグリーンコンテンツにできるかどうかを検討する必要があります。キーワード対策をしているのに順位が伸びないということは要素が足りないか、独自の要素がない可能性が高く、追記修正し、再発信をすることで蘇らせる可能性があります。

まず確認すべきは記事の方向性が間違っていないかをGoogle検索で確認し、競合記事から要素抽出をおこないます。この時点で問題がなければサイトそのものが弱いか、記事に情報の網羅性が足りない可能性が高いため、オリジナル要素を挿入できないかを考えます。

具体的には関係者やユーザーへのヒアリングをおこない、悩みや課題をあぶりだします。直接ヒアリングがむずしい場合にはビザスクやi-commonなどのスポットコンサルを利用して専門家に話を聞くのもよいですし、匿名掲示板やYahoo!知恵袋のように個人の意見を収集したり、TwitterやInstagramなどで発信されている情報を精査することも効果的です。

重要なことはユーザーニーズを特定し、ニーズを十分に満たせるだけの情報を独自要素として追加して、わかりやすい記事にすることです。ニーズの特定や独自要素の追記のためには十分に時間をかけ、構成を作る必要がありますが、時間をかけて企画をしなければエバーグリーンコンテンツ制作をすることはできません。

 

まとめ

エバーグリーンコンテンツとは、長期間にわたって集客ができるコンテンツのことを意味します。一度作ってしまえば長期間にわたってメンテナンス無しに集客し続けてくれるコンテンツですので、SEO集客を考えている場合には非常に優れた集客手法になります。

しかし、制作のためにはニーズの特定が必須であり、十分な知見を持った有識者が時間をかけて企画する必要があります。インハウスで対応することで自社の知見を十分に活かした記事を作ることができますが、ニーズ特定やSEOライティングの観点では有識者が関わることが望ましく、すべてを自社だけで制作することはむずかしいのが現実です。

このような場合、最初から自社だけで制作することだけではなく、外部との連携をすることで時間を短縮し、大きな効果があげられる可能性が高く、正しいマーケティングとライティングの知見を持った外部への協力要請も必要です。