SEOは中長期で考える必要があるマーケティング施策であり、長期的なコストパフォーマンスを考えたときには広告施策と並行して検討すべき課題です。しかし、中長期で考える必要があるという事実だけでは経営層を動かすことはむずかしく、経営層は当然のようにROI(Return On Investment、投資対効果)を考えるため計画を求められることがあります。

SEOで中期計画をシミュレーションしようとしてもうまくいくことは少なく、必ず外れると言っても過言ではないほど正確性がむずかしいものです。ですが、それでも経営層を納得させるためにはシミュレーションすることが求められます。

この記事ではSEOで中期計画をシミュレーションしてほしいといわれたときの、SEO中期計画の作り方、考え方を提供すると同時にSEOの中期計画が必要になったときに本当に考えるべきことにも触れたいと思います。

 

SEO中期計画とは

SEOを始める場合、施策をおこなうことでトラフィックがどのように推移するのかという計画が必要になることがあります。これをSEOの中期計画といいますが、SEOの中期計画を立てることは簡単ではありません。

SEOは実施しても効果が出るまで早くて3ヶ月、一般的には6ヶ月以上かかるといわれています。キーワードやサイトの育ち具合、投資額によっては1年以上かかることも珍しくはありません。必然的にSEOには中期的な目線が求められます。

SEOで中期計画を作ることは可能ですが、多くの場合で計画どおりには進みません。どのように数字が推移をするのかをSEO会社に依頼しても出してはくれますが、まず当たりません。

では、これはSEO会社が悪いのでしょうか?SEO会社はある程度の推測を交えながら数字を出しているため、SEO会社が悪いというよりもSEO中期計画を出すことがそれだけむずかしいということを意味しています。

 

SEOシミュレーション騒動

「SEOのシミュレーション」という概念について、ツイッター上で話題になったtweetがあります。2022年2月16日の長山一石さんの発言です。

長山さんはSEOやWEBマーケティングの業界では有名な方ですが、業界歴が浅い人やインハウスのSEO担当者は知らないかもしれませんので簡単にご紹介すると、Googleで勤務したのち、「インターネットをよくする会社。」である株式会社JADEを設立しSEOやSEM領域で活躍されている方です。一言でいえば、元・Googleの中の人といえます。

その長山さんが「SEOのシミュレーション」を「恐ろしい概念」と発言したことで業界人を中心に物議を醸しました。端的にいえば、SEOのシミュレーションはあまりにもむずかしすぎて現実的ではないのです。

なお、結論は人によって違うので明言を避けますが、SEOの担当者レベルではシミュレーションは無理という意見が目立ち、経営者視点の発信ではお金を出す以上はある程度の成功確度や数値は出してしかるべきという極端に相反する意見が出ました。

 

SEO中期計画の作り方

SEOの中期計画はむずかしいものの一般的な作り方はあります。ある程度数字がどのように動くのかを見るためには作り方を知っておくことは無駄にはなりません。場合によっては上長や経営者を説得する資料にもなるため、覚えておいてください。ただし、確度は保障できません。

 

テーマを決める

SEOではキーワード選定が極めて重要です。ですが、キーワードを決める前にサイトのテーマを決めることも重要です。これは既に決まっていることが多いものの、新しくオウンドメディアを立ち上げる場合やサテライトサイトを立ち上げる場合などではテーマを明確にしてください。

例えば、「マーケティング」、「WEBマーケティング」、「SEO」は言葉の意味の広さが違いすぎます。SEO特化なのか、WEBマーケティング(広告、SEO、SNSなど)なのか、マーケティング(セールスではなく売る仕組みそのものを作る)によってターゲットがまったく異なるため、当然のようにキーワードも変わってきます。

 

キーワード選定する

テーマから逆算してキーワードを決めてください。例えば、テーマが「SEO」であればSEOのサジェストを集めるところから始めたり、「SEO」以外のビッグワードや関連ワードも探したりする必要があります。

例えば、「Googleコアアルゴリズムアップデート」はキーワードに「SEO」が含まれていませんが、SEOに関係する非常に重要度の高いキーワードです。

このようなサイトに入れるべき記事のキーワードをとにかく集めるところから始まります。

 

検索ボリュームを調べてグルーピングする

キーワード一覧ができたらキーワードプランナーを使って月間検索ボリュームを出してください。

検索ボリュームが多すぎるキーワード(ビッグキーワード)は最終的には狙いたいのですが短期での上位化はむずかしく、検索ボリュームが少なすぎると検索上位を取ってもアクセスがほとんど見込めません。

ただ、サイトを立ち上げたばかりの頃はビッグキーワードやミドルキーワードよりもスモールキーワードのほうが上位化しやすいため、アクセスを集めるためには積極的に取得するのは考え方としてはありです。

この段階で、キーワードを見て自社で作れるコンテンツなのか、外注すべきコンテンツなのか、狙わなくてもよいキーワードなのかを分類します。

外注する際には専門的な記事というよりは一般論としての記事になりやすく、本当に専門的で独自コンテンツを作る場合には自社で内製化したほうが良い記事になることが多いのが実情です。特に一次情報の公開や自社で保有する統計データなどを活用したい場合には自社制作してください。

同時にキーワードのグルーピングも重要です。例えば、「SEOとは」と「SEOとは わかりやすく」は同じ趣旨の記事になりやすく、敢えて分けて2つの記事を書くべきなのか、1つの記事で狙うべきなのかは精査が必要です。

シミュレーションする

キーワードと検索ボリュームをExcelに転記し、自社で月に何記事作れるのかを検討してください。キーワード難易度によって上位化できるまでに要する期間が変わり、上位化できたとして何位なのかでクリック数は大きく増減します。

参考:2021 CTR Research Study(SEO Clarity)

よく1ページ目に入らないとクリックされないといわれますが、統計データでは10位(1.32%)よりも20位(2.85%)のほうがクリックされていることがわかります。もちろん、地域、キーワード、テーマ、タイトル、descriptionなどさまざまな要因があるので参考値として見てください。

何か月で上位化できるかは担当者の腕次第ですが、スモールキーワードであれば1ヶ月〜3ヶ月、ミドルであれば3ヶ月〜6ヶ月、ビッグであれば6ヶ月〜12ヶ月というのがだいたいの感覚です。

これはサイトのステージによって非常に大きく変わり、ミドルキーワードであっても投稿した当日に1ページ目に入ることがありえます。これはドメインが十分に育っていて、サイトのテーマが十分に認識される場合のことです。

東証プライムで半世紀以上特定分野で営業活動を続けている企業が20年以上保有するメディアと完全新規で今日から参入する分野のメディアとでは評価の速度がまったく違うのは計画時に必ず考慮すべき問題です。

例えば、三井住友VISAカードがクレジットカードのメディアを立ち上げれば、比較的簡単に上位表示はできますが、金融とは縁もゆかりもない企業が立ち上げたクレジットカード紹介メディアでは上位化難易度は恐ろしいほど変わってきます。

あとは上位化までの想定期間とそのときの想定順位を出し、検索ボリュームと想定順位時のクリック数から簡易的に検索流入数を割り出せます。

 

SEO中期計画が失敗する理由

SEO中期計画の作り方は明示したものの、SEO担当者のなかには釈然としないものを抱えたままの人もいるはずです。それもそのはずで、前述したシミュレーションは非常に高確率で外れるからです。

なぜ当たらないかといえば、一例では次のようなことが挙げられる。

 

  • ・SEOの難易度の出し方がむずかしすぎる
  • ・上位化までの期間が想定値すぎる
  • ・キーワードが当初計画のまま進むとは限らない
  • ・Googleコアアップデートの影響を考えていない
  • ・SNS運用による加速度合いを加味していない

 

考えればもっと出てくるので一概に答えることは本当にむずかしい問題です。

 

上位化までの期間(Google公式見解)

<iframe width=”560″ height=”315″ src=”https://www.youtube.com/embed/piSvFxV_M04″ title=”How to hire an SEO” frameborder=”0″ allow=”accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share” allowfullscreen></iframe>

 

一般論レベルではありますが、Googleは2017年にSEOにおける効果が出るまでの期間について動画で言及しています。上記のYouTube動画は約12分あり、すべて英語なので言及している箇所を見つけづらいかもしれないので、次のスライドをください。

動画のなかで出てきたスライドの1枚です。

In most cases, SEOs need four months to a year to help your business first implement improvements and then see potential benefit

この文章から、SEOは施策実施後に利益を確認できるようになるほど育つまでに4か月から1年を要することがわかります。この期間のブレが予想しづらさの一因になっています。

余談ですが、解説しているMaile Ohye氏の個人ブログのデザインが少し面白く、WordPressに少しでも関わったことがある人であれば見た瞬間に「おや?これは…」と思うはずです。

経営者の視点

上のシミュレーション結果を経営者に出せば、当然、上図のような数値の推移をするものだと経営者は思います。経営者はSEOの専門家ではないので当たり前といえば当たり前です。

実際には予想に対して上図のような動きをすることは頻繁に聞く話です。月を経るごとに当初数値(目標数値)との差が広がるため、担当者としては辛いところです。

ただし、Googleコアアップデートや長年積み上げてきた結果、次のように突然跳ねることもたびたび目にする光景です。この突然跳ね上がることを当初計画で予想することは著しくむずかしく、現実的ではありません。

SEO中期計画が必要になったときに考えるべきこと

上長や経営者にSEOの中期計画の作成を依頼された場合、基本的な作り方や考え方は前述したとおりです。しかし、計画通りに進むことはほとんどないことも前述したとおりです。

そのため、計画を出す場合には必ずベストシナリオとワーストシナリオを同時に出すことが必要です。最初からできないことを提示しても担当者がつらくなるだけですし、SEOがWEBマーケティングの大部分を占めていた場合には計画が崩れることは経営判断を間違えてしまうきっかけを作ることになるためです。

ワーストシナリオは、かなり堅い数字を出す必要があるので経営者が納得しないことも大いに考えらますが、SEOはそれだけむずかしく、数字が安定することはないことを経営者に納得してもらうことも重要なSEO担当者の業務の1つといえます。

そして、経営者を納得させるために敢えてSEO会社を使うことも効果的な手法です。コンサルティングファームではエンドースメント効果といいますが、「その道のプロが言うのだから、それは正しいのだろう」というお墨付きを与えることができるからです。

とかく、経験の浅い方によるインハウスSEOは失敗しがちです。それはSEOは当初計画が立てづらく、その後の展開を予想しにくいことも大いに影響します。そのような場合には外部機関のSEO会社を入れることで適切なアドバイスを受けることもできます。

株式会社AdAIではSEO経験20年以上の主担当者が顧客目線でSEO計画を立てています。もしSEOでお困りのことがあれば一度ご相談いただければ幸いです。