インハウスとは内製化のこと、インハウスSEOとはSEO業務を社内で完結させることです。
SEOは意外に難しい業務が多く、外注を頼ることも多いのですがコストがネックになってきます。インハウスSEOを実現するにはいくつかの壁がありますが、その壁さえ乗り越えることができれば生産性が上がることは間違いありません。
そこで、AdAIがインハウスSEOを実現するためにはどうするかをご説明いたします。
インハウスSEOとは
自社内でSEOを完結することをインハウスSEOといいます。多くの企業は自社でSEOをやらずにSEO会社やWEBマーケティング会社に依頼したり、業務の一部をコンテンツ制作会社に依頼したりしています。
しかし、SEO会社の月額費用は最低でも30万円以上はかかりますし、実動は制作会社に別料金で依頼するということが普通です。中小企業がSEOを本格的に導入できないのは、コストという障壁があることも大きな理由になっています。
これは逆に考えるとSEO担当が社内にいれば、外注コストを大きく減らすことができるということです。
インハウスSEOが求められる理由
2017年頃までのSEO対策は外部リンクを付けることが主流でした。2022年の現在でも外部リンクを増やすことは非常に重要なSEO施策ですが、主流はコンテンツの作り込みや内部対策にシフトしています。
つまり、やろうと思えば自社でもできないことはないような状況です。加えて、デジタルマーケティングの重要度は年々上昇しているため、対応が遅れると自社だけが取り残されるということになりかねません。
Googleは非常に積極的に情報を公開していますし、SEOを自社でできるだけの情報提供をしているサイトも多く、正しい情報収集と運用ノウハウさえあればインハウスSEOが求められています。
インハウスSEOできる会社の特徴
インハウスSEOをするためには専任の担当者を用意することはもちろん、社内の理解が重要です。SEO施策を実施するにあたり、問題になるのが社内調整です。特にSEO担当者の上司が障壁になり実施できないということは頻繁に見かけます。
SEOができる人材を登用することも課題ですが、インハウスSEOを実施できるだけの環境が用意されていることも必須条件です。
インハウスSEO導入のステップ
インハウスSEOを実現するためには、大きく3つのステップを踏む必要があります。
- 1.SEO会社との伴走
- 2.SEO会社からの移譲
- 3.完全インハウスSEO
SEO会社との伴走
最初におこなうべきはSEO会社またはWEBマーケティング会社との伴走です。多くの企業にはSEOのノウハウがなかったり、古かったりします。最新の情報を取り入れ、サイトの問題を洗い出す作業は必須事項です。
その後、問題点の修正が終わるまではSEO会社、WEBマーケ会社と伴走する必要があります。伴走している間に可能な限りノウハウを社内に落とし込み、独立して業務をおこなう体制を作る必要があります。
つまり、将来的にインハウスSEOを考えている場合には、ノウハウを社内に落とし込むことを前提にしたSEO会社を選ぶ必要があります。SEO会社によってはアカウントやパスワードを渡して、すべての業務を依頼できるというところもありますが、このような依頼の仕方ではノウハウが社内に貯まりません。
SEO会社からの移譲
SEO会社に戦略設計、キーワードマッピング、問題点の洗い出しなどをおこなってもらった後は、原則的にはコンテンツの拡充と外部リンクの確保だけでSEO効果が見込めるはずです。
コンテンツ制作はSEO会社でもコンテンツ制作会社(ライティング会社)でも可能ですが、コンテンツ制作だけを外注するとサイト構造を無視してライティングすることになってしまう可能性が高く、自社でライティングをするか、SEO会社に依頼するほうが効果が見込めます。
最終的に社内でおこなうことを考えれば、コンテンツ制作手法と外部リンクの獲得ノウハウもSEO会社から共有してもらう必要があります。
完全インハウスSEO化
SEO会社からの情報共有が終われば、あとはすべての業務を自社でおこなうようにします。SEOの業務範囲は非常に広いですが、大きく分ければ内部対策、外部対策、コンテンツSEOの3つです。
内部対策は当初の伴走期間で終わっているはずですので、新規でおこなうことはほとんどないはずです。外部対策とは外部リンクとサイテーションの獲得のことですが、伴走期間と移譲期間のノウハウを引き継いで継続できるはずです。
問題になるのはコンテンツ制作です。もともと自社でコンテンツ制作ができればよいのですが、自社ではコンテンツを作れないということが往々にしてあります。
しかし、コンテンツ制作をライティング会社に依頼しても希望どおりの記事はほとんど出てきません。コンテンツ制作のノウハウまでを社内に落とし込める会社は少数派ですが、完全なインハウスSEOを目指す場合には社内の体制作りが大きな課題になります。
インハウスSEOのメリット
インハウスSEOのメリットは外注コストの削減と人材育成、ノウハウ蓄積にあります。
SEOは継続しておこなう必要がありますが、ずっと外注をしているとブラックボックス化してしまい、ノウハウが貯まらず、コストもかかり続けます。最新の情報が集まるという意味では専門会社に依頼することは悪い選択肢ではありませんが、投資対効果を考えると永続して支払い続けることは賢明ではありません。
コスト削減
SEO会社の外注コストはおおよそ月間30万円程です。しかし、対応すべき施策一覧や戦略、方向性は示してくれても本番化は自社ということがほとんどです。これを制作会社に振ることで別途コストがかかり、ライティングを依頼するとさらにコストがかかります。
いくらでどこまで、というのはありますが、自社に専任担当がいれば、より深く、より速度感をもって対応できます。
マーケティング人材の育成
デジタルマーケティングは今の時代、あらゆる分野で必要です。仮に今の時点で必要なくても将来的には必要になってくることが想定されます。人材の育成という点ではできるだけ早い段階で着手したほうがよく、SEOで成果がでるまでに時間がかかるという点でもインハウス化は賢明です。
マーケティングノウハウの蓄積
SEO会社のなかには検索順位の向上だけではなく、CROにも注力してくれる会社もありますが、多くの会社ではそこまで対応してくれません。そのため、社内に担当者を置く必要があるのですが、SEO会社のスタンス次第では連携して対応できないということもありますし、連携できる場合にも社内に担当者がいないと将来的にマーケティングノウハウが蓄積されません。
SEOをインハウス化するときの障壁
SEOをインハウス化することにデメリットはありませんが、実現するうえで乗り越えるべき壁は存在します。
単純にSEOの専門的な知識が必要である点と社内体制を作るのがむずかしい点の2つです。もう少し細分化すると、専門知識の不足、リソース不足、社内体制の問題の3つが障壁といえます。
なお、SEOのインハウス化にデメリットを挙げる方もいますが、インハウス化がむずかしいだけであり、インハウス化のデメリットはありません。
専門知識の不足
SEOには専門知識が必要です。のみならず、インハウス化するということはWEB制作、サーバー、コンテンツ制作などに幅広い知識を求められます。場合によっては広告やマーケティング全般の知識まで必要になりますので、業務内容は非常に多岐にわたります。
さらに、SEOは常に進化しますので最新情報を収集し続け、情報アップデートを繰り返さなければなりません。そのためには、現状の社員をSEO担当にするよりも、SEOの知見のある人材を外から登用する必要があるかもしれません。
リソース不足
人的リソース不足は常に中小企業の課題になるはずです。特にSEO担当の業務はWEB上のすべてに渡る可能性がありますので、他の業務との兼任がどこまでできるのかが問題です。
通常はSEOを専任におこなう担当者が欲しいところですが、そうでない場合には単純に作業工数が上乗せになる可能性があります。
社内体制の問題
SEOの特徴として、成果が出るまでに時間がかかるということがあります。広告であれば実施と同時に効果が出始めますが、SEOでは施策開始後半年はまったく成果が出ないということも頻繁にあります。
SEO会社との伴走期間中に効果が出ていたとしても、インハウス化をするタイミングで効果が出なくなることも考えられます。この時に社内の理解がないと従業員としてはつらい立場になりますし、そもそもの体制が出来ていなければインハウスSEOはうまくいきません。
インハウスSEOの業務内容
インハウスSEO担当者の業務は非常に多岐にわたります。代表的な業務内容を以下に示しますが、実際にはWEBマーケティングのすべてを請け負うこともあるため、これよりもさらに多くの業務に対応する必要があるかもしれません。
- ・内部対策
- ・外部対策
- ・コンテンツ制作
- ・アクセス解析
- ・検索順位チェック
- ・サイト改善
- ・コンバージョン率改善
インハウスSEOに必要なツール
インハウスSEOをおこなうにはさまざまなツールを使う必要があります。しかし、多くの場合でSEO会社のツールを高額で課金していることが見受けられます。
せっかく社内で対応できるようになっても外部ツールを使っていてはコスト削減になりません。SEOツールは無料ツールでもかなりの部分を対応できますので、基本は無料ツールを使い、無料ツールでは対応できない部分だけを有料ツールで補うべきです。
Googleアナリティクス
Google Analytics(Googleアナリティクス、GA)はサイトにアクセス後にユーザーがどのように動いたかを分析できる無料ツールです。
ユーザー数(UU)、セッション数、ページビュー数(PV)などはもちろん、どこのページに最初にアクセスしたか(ランディングページ)、ランディングのあとにどのページに移動したかなども確認できます。
SEOに限らずWEBサイトを運営する際のマストツールといえます。
Googleサーチコンソール
Google Search Console(Googleサーチコンソール、GSC)はユーザーがサイトにアクセスするまでの動きを確認できる無料ツールです。
検索クエリ、表示回数、掲載順位、インデックス数、インデックスリクエスト申請、モバイルフレンドリー確認など非常に多くの機能を備えています。WEBマーケティングという意味ではGoogleアナリティクスが有名ですが、SEOという点ではGoogleサーチコンソールのほうが使われるかもしれません。
GRC
GRCは検索順位チェックツールです。有料ではありますが年間でも4,980円(税込み)しかかかりませんのでSEOツールのなかでは破格の安さです。ツールとして使いやすく、500キーワードまで管理できますので非常に優秀です。
Microsoft Clarity
Microsoft Clarity(クラリティ)は無料ヒートマップツールです。ヒートマップツールはさまざまですが、無料でここまでの機能を持つツールはほかにはなく、非常にお勧めです。
注目されているポイントや離脱ポイントを視覚的に把握して導線設計やCVR向上に役立てます。
Screaming Frog SEO Spider
Screaming Frog SEO Spider(スクリーミング・フロッグSEOスパイダー)はサイトをスクリーミングする無料ツールです。競合サイトの一覧を作成し、どのような対策をしているのかを分析するために役立ちます。
※厳密には有料ツールですが、非常に多機能で優秀ですので無料でも十分に使えます。
ラッコツールズ
ラッコツールズは具体的なツールの名称ではなく、無料ツール群のことを指します。どれも無料でさくっと使える点で使いやすいですが、特にラッコキーワードと見出し(hタグ)抽出がSEOに有用です。
Ahrefs
Ahrefs(エイチレフス)は非常に有名な有料SEOツールです。ドメインの強さや順位計測もできますが、特に優れているのが被リンク元調査機能です。競合サイトがどのサイトからリンクを貰っているのかを簡単に調べられます。そのため、自社の外部対策に重宝します。
ただし、競合の外部リンクをすべて洗い出すツールはありません。正確に抽出することは不可能といえます。Ahrefsはかなり優秀ですのでほとんどを抽出できますが、さらに精度を上げる場合にはSEMrushやMoz、Hanasakiganiなどを併用する必要があります。
インハウスSEOを成功させるならAdAI
インハウスSEOにメリットは多いものの、高度なスキルと知識を必要とするため現実的にインハウスSEOをおこなうことはなかなかできません。一部の業務を外注するセミインハウスSEOを実施している会社もたくさんありますが、少数派といわざるをえない状況です。
手前味噌ではございますが、AdAIは企業のインハウスSEO化の支援をやらせていただいております。最初は伴走、そして徐々に役割を移譲し、最終的には完全インハウス化ができるまでをサポートいたします。
来るべき未来に備えるためにも、まずは一度AdAIまでご相談ください。